【インタビュー】株式会社コーナー:人事が強くなれば働く人が幸せになる――代表・門馬貴裕「人事・採用のパラレルワーカーシェアリング事業を行う理由」

【インタビュー】株式会社コーナー:人事が強くなれば働く人が幸せになる――代表・門馬貴裕「人事・採用のパラレルワーカーシェアリング事業を行う理由」

「1人が、複数の会社で、本気で働ける社会をつくる。」をミッションに、パラレルワーカーのシェアリングサービスを行う株式会社コーナー。人事・採用領域に特化した複業やフリーランス人材の活用を軸に、企業の課題解決を支援している。コーナーは、HR領域における人材活用に着目した新しいビジネスに、どんな考え方で臨んでいるのだろうか? 代表取締役の門馬貴裕さんに、人が「働く」ことに対する思いも含めて、話を聞いた。

株式会社コーナー代表取締役 門馬貴裕さん

経営を見据えた人事人材が増えればビジネスがうまくいく

―― まず、コーナーのビジネスの内容を教えていただけますか?

門馬 人事(HR)の領域に特化し、人事や採用業務を経験してきた法人経営者、フリーランス、複業希望者といったパラレルワーカーの方々を、企業の課題に応じてご活用いただくサービスです。プロジェクトベースで、3ヵ月、半年、1年といった期間でパラレルワーカーの方に企業で仕事をしていただいて、採用や人事制度、組織開発といった様々なテーマの課題解決を目指します。

―― 人事面での企業の困りごとに応じた人材を紹介するわけですね。

門馬 そうです。ただ、人をご紹介して終わりというマッチングビジネスではないのです。まずはコーナーで、法人のお客様に対して、経営・事業を前に進めるために、ボトルネックとなっている人事課題の要件定義を進めます。その困りごとを人事の領域を含めてどう解決していくかというコンサルティングや提案を行います。その提案を実務として行えるパラレルワーカーの方を紹介し、法人とパラレルワーカー双方の考え方がフィットすればサービスを開始します。その後も課題を解決していくために、3者でプロジェクトを前進させていくイメージです。

―― 門馬さんはなぜ、人事領域に特化したシェアリングを軸にしたビジネスを始めたのでしょうか?

門馬 起業をした当時、フリーランスと企業をつなぐサービスはあったものの、人事領域に特化したものは見当たりませんでした。新卒で入ったインテリジェンスではいろいろな会社の経営や事業、それに伴う人事、採用課題と向き合い、人事に関わる方々と会い続けてきました。相手が社長や人事部長ということもある中で、人事は事業や経営に直結していると感じていました。ただ、果たして、経営的な観点で人事の仕事ができる人材は、世の中にどれぐらいいるのだろうと。そういう人材がいればいるほど事業がうまくいくし、会社全体の生産性もアップする。最終的には、日本のGDPも上がるというところまで見えてくるわけです。

会社を動かす根幹は「人」

―― それまでの経験もあって、HRのジャンルでの人材活用に注目したわけですね。

門馬 土地勘があったというのもひとつの理由ですね。それに、いろいろなインキュベーションの方法がある中でも、やっぱり根幹は人です。どんなにAIやテクノロジーを駆使している会社でも、それを動かすのは人ですから。だからこそ人事がもっと強くなるべきだし、もっとすばらしい人事の人材が増えるべきだと感じていたのです。ただ、社員のうち8割が人事という会社はないように、人事に携わる人材は少ない。事業や経営に直結する人事ができる人の数を増やすより、まずはシェアリングという形で、ひとりが複数の会社を支援することが叶うのであれば、それで助かる会社や事業が増えると思ったのです。

インテリジェンス在籍時に関わった新入社員研修も原体験にあります。人材業界を卒業して活躍する人はたくさんいますけど、そういう人が在籍中に営業やコンサルとして顧客の人事を支援するだけではなく、仮に人事として働いてそちら側の風景が見えたら、もっと自分のやっていることの意義が深く理解できる。その経験が、その後にもつながるのではないかと思ったのです。だから、人材業界の社員がもっと副業をすればいいのに、とも思っていました。そう考えると、人事に関わる方々が複業、兼業を通じて法人の支援をすることは、個人にとっても法人にとっても合理的です。それが実現すれば、世の中がもっと良くなると思ったのが起業のきっかけですね。

雇用を作る人が楽しく働く社会を作りたい

―― こういったビジネスが活性化することによって、会社や事業がもっと良くなって、仕事で幸せになる人が増える、というビジョンがあるわけですか?

門馬 おっしゃるとおりですね。雇用を作る人が楽しく働いている世界を実現させることが、子の世代、孫の世代の人の幸せにつながっていく。そんなシンプルな構造があると思っています。みんなが楽しく生き生きと生きるために、まず仕事を楽しいものにすること。かつ、価値があることだから対価を得られる。それを実現するしかないのです。

一方で、労働人口の構造がこれから変わるとも思っていました。社員数に担保する会社が減ったり、年功序列が破綻したりして、レガシーかつ人が価値を感じていない事業や会社は減っていく。若い世代の労働人口自体も減っていくし、働く先も減る。だからこそ、ポテンシャルがある事業や面白い会社がちゃんと成立してそれが産業になることが、これからの世の中において絶対に必要になる。僕らは正義であろうとはまったく思っていないんですけど、この状況を黙って見ているのではなく、そんな社会を実現するために意義があることをやっていくべきだと感じていますね。

週2日なら凄腕のスペシャリストが手伝ってくれる

―― まだ人事を外部に委託することに抵抗のある会社もあると思います。ビジネスを進める上で感じる手応えとしては、市場をこじ開けるには厳しいのか、それとも、この時代に必要とされているなという感覚、どちらですか?

門馬 僕らはまだ小さな規模で展開しているので、世の中を俯瞰的に見られているのかという疑問はあるものの、手応えとしては後者ですね。僕ひとりで会社を始めて4年ですし、サービスサイトをリリースしサービスとして正式スタートしてからまだ1年強です。それでも、登録いただいているパラレルワーカーの方が約2000名います。それに、法人のお客様が一度、パラレルワーカーの方を活用されると、やみつきになることが多いです(笑)。最初の1歩はやっぱりハードルは高いです。フリーのライターやエンジニアの方々に納品ありきのスポット業務を依頼するだけはなく、毎日動いている業務の中で週1日や週3日で関わる人がいることは、もともと想像しにくいことですから。ただ、一歩目を踏み出していただいた法人様からすると、「こんなに違うのだ!」と。

―― 具体的に、どんなポイントに一番メリットを感じられるのですか?

門馬 人材を社員として採用して人員を補おうとしている企業が、転職市場で出会えないような人を活用できることだと思います。転職活動をしていない凄腕のスペシャリストが週2日なら手伝ってくれるということがあり得るので、ビックリされたりします。それまでなんとか社員で時間をかけてがんばって進めようと思っていたことが、半年とか3ヵ月で完了しちゃいました、みたいなことがよく起こるので。客観的な意見が得られるという点も喜ばれますね。正社員2人とパラレルワーカー8人という体制で人事を進めている会社さんもありますよ。まだまだ規模は小さいものの、やればやるほど手応えは感じていますね。

―― なるほど。いい人材が採用できない!と悩んでいた人事の方からすると、驚きそうですね。

門馬 そうですね。それに、企業の担当者と二人三脚で仕事を進めるケースが多いので、その社員さんが急に育つということもよくあって。プロの業務を隣で見てノウハウに落とし込んでいけるのです。パラレルワーカーには育成をミッションとしてお願いしていなくても、その点をメリットと感じてもらえる法人のお客様がたくさんいます。まずひとりのパラレルワーカーを活用いただいて、その後、さまざまなテーマでの利用を広げていく会社さんも多いですね。人事制度や給与制度の問題や、離職率が高いのは就業規則に課題があることがわかったりと、取り組むべき新しい人事領域のテーマが見つかると、また違う領域のプロを紹介していくという流れで広がっています。

実はゼロからの新規開拓はしていない

―― 営業や新規開拓についてのお話もお聞きしたいのですが、最初に門馬さんがおひとりで会社を始めたとき、最初のお客さんはどのように開拓したのですか?

門馬 当初、法人設立はしたのですが、ひとりでほぼフリーランスのような形で企業の人事を支援していました。まずは自分自身で、パラレルワークをやってみようと。すると、前職でお世話になった方から困っている会社の担当者様を紹介してもらったり、知人有人から話をもらったり、気付いたらいろいろな方からご相談を受けて、すぐに体が埋まってしまったのです。当時は、10社以上同時並行で支援をしていましたね。だから、当時はゼロから開拓した経験というのはほぼありませんでした。

―― それはすごいですね! インテリジェンス時代のご活躍があったからなのですね。

門馬 当時はフリーランスの人事がそう多くなかったように思います。それに、お手伝いしている経営者の方が友人にコーナーを勧めてくれることも多くて。採用領域で苦労していた企業さんがうまくいっている姿を見ると、周りから「どうやっているの?」って訊かれるのですよね。「コーナーに頼んでいるんだよ」と話してもらうことで、一気に広がった感覚です。

―― 今、2000人ほどのパラレルワーカーが登録されているとのことですが、それはどう集めたのですか?

門馬 サービスサイトをリリースしてから試行錯誤のマーケティングをしてきました。ひとつ言えるのは、COOの小林は、dodaの企画部門の統括責任者も経験していて、マーケティングや集客に強いこと。そしてCMOの松村もマーケティングのプロフェッショナルで、彼らを中心にいろいろな方法で集めました。当時はまだ人事領域に特化した競合が少なかったので、とにかく戦える状態になるまで試行錯誤してきましたね。サービスサイトを立ち上げてからは、サービスの認知を高める活動をしています。

ビジネス拡大のため顧客とパラレルワーカーの垣根は作らない

―― 今、BtoBの新規開拓はされているのですか?

門馬 今はこの人数なので、基本的にはテレマーケティングや飛び込みといった手法の新規営業活動はやっていません。マーケティングやサービス広報の戦略、アライアンスなど、今あるリソースでできることに取り組んでいます。

―― そういった顧客を広げる活動の中で、意識していることはありますか?

門馬 今、メンバーの間で顧客開拓の方法が固まっているわけではないのです。みんながそれぞれ興味のある方法を試してみて、ノウハウを共有している段階ですね。僕で言うと、いつも意識していることは、お客様という垣根を設けないことです。法人のお客様にもパラレルワーカーとして登録をしていただけることがよくあるのですよ。たとえば、お客様の人事部長に、こういうことで困っている会社さんに週1時間だけ協力いただけませんか?とお願いをすることもあります。企業の人事責任者の方の登録も多いですし、パラレルワーカーの方から自社の困りごとについて相談をもらうこともあって。例えば登録いただいた相手に、「うちで働いてみませんか?」という相談もできるので、当社の採用ターゲットにもなり得るわけです。共に戦っているフィールドである「HR」というキーワードでつながる方々と、いろいろな可能性が持てるのです。

―― みんなで日本のHRを盛り上げて行っている感じなのですね。

門馬 そういう感覚、実際にありますよ。

人事のスキルシェアを広げるプラットフォームをリリース

―― 近い将来に実現したいことや、今後の展望を教えてください。

門馬 9月に、オンラインのプロダクトをリリースする予定です(9月14日、オンラインマッチングサービス「corner works(β版)」をリリース)。今、ウェブ上で法人のお客様の案件を見る事ができたり、個人がマイページを持っていて更新できたりするような場がないのです。クラウドソーシングの領域では法人と個人が直接やりとりできる仕組みが一般的ですよね。そういったサービスとまったく同じではないのですが、法人のクライアントがパラレルワーカーとコミュニケーションができるプラットフォームを整えます。オンライン化により、「ひとりが複数の会社で本気で働く社会」を実現する仕組みをよりたくさんの方に理解いただき、実行していただきたいです。企業が、社員の採用だけじゃないもうひとつの方法として、複業・兼業をする個人を活用する機会を増やす。同時に、パラレルワーカーを目指したい方がいたらちゃんと背中を押せる状況を作るために、ここ数年いろいろな計画や仕掛けを用意しています。

―― 最後に、これまでで、ご自身にとって印象深い開拓の経験は何ですか?

門馬 マーケットの開拓というのが、僕とコーナーにとって今、一番大きなテーマですね。今までなかった、人事・採用領域に特化した複業・兼業のマーケットをどう切り開いていくかということが、大きな経験でもあり、これからのテーマでもあります。4年前には、ビジネスになるかどうかもまったく見えない状況で、もしかしたら泥沼かもしれないところに足を突っ込みましたので(笑)。

―― 泥沼に足を突っ込むのは、抵抗はなかったのですか?

門馬 抵抗はなかったですね。ひとりが1社だけで働くというスタイルがすべてではなくなるだろうなとずっと思っていたので。自分自身がパラレルワーカーを経験して、「これなら行ける」という手応えをつかめたことも良かったですね。それに、自分が以前お手伝いしていた会社に対して、外からお客さん的に関わっていたという感覚もなければ、辞めた感覚もないのですよ。人事の仕事に関わっていると、業務委託であるとかはあまり関係がなくて。未だにつながっていますし、僕が当時、人事として採用した人にとっては、僕は自分を採用した人でしかないのです。そういうことも含めて、これからは雇用形態やHR人材活用のあり方も変わっていくだろうなと、当時から確信していたことが大きいと思いますね。

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