オフィスにかかってきた電話の受付を代行するサービス、fondesk(フォンデスク)。人的リソースの有効活用や、リモートワーク中の電話対応といったニーズを持つ企業から支持され、2020年9月末までの半年で有料契約件数が4倍規模に伸びる成長を続けている。労働人口の減少、コロナ禍における働き方の多様化など変化を続ける日本の労働環境において、どのような思想でサービスを提供しているのだろうか。株式会社うるるの執行役員・fondesk事業部長の脇村瞬太さんに詳しく聞いた。
電話は相手の時間を無理やり使ってしまうツール
―― まずは、fondeskのサービスを立ち上げたきっかけから教えてください。
脇村 うるるは創業時からクラウドワークを普及させることをミッションに定めて、クラウドワーカーの力を活用するサービスを提供してきました。僕は新規事業担当として、その一環である電話代行のサービスを立ち上げました。fondeskリリース前は、Chatworkさんとの共同事業で行っていたChatwork 電話代行というサービスを持っていたのですが、Chatworkユーザーだけではなく、SlackやMicrosoft Teamsなど、他の社内ツールを使っているお客さんのニーズにも応えるため、2019年2月にfondeskをスタートしました。
―― リリースしてすぐに、電話対応に関して顧客に課題があることは感じましたか?
脇村 そうですね、手応えはありました。ユーザーへのヒアリングでも、代表電話にかかってくる電話の8割ぐらいは、新規の売り込み電話などの「不要不急の電話」だとわかりました。電話というのは相手の時間を無理やり使ってしまうツールなので、あと5分で会議が始まるのに雑に切れないとか、自分宛の電話が何回もかかってきているけどタイミングが合わず出られないとか、そういうストレスも生んでいて。効率化を進める企業さんの中には、すでに代表電話をなくしているという会社もあります。ただ、銀行口座を作るには電話番号が必要ですし、保険や税務署の調査にも電話が使われます。新聞やテレビの記者さんもまだ電話コミュニケーションが多いため、電話をなくすと取材を受ける機会を逃してしまうかもしれません。
今は社内でも、電話をかけるというよりは、チャットで用件をちょっと伝えたり、メッセージも返せるときに返せばいいという仕事のフォーマットが普及しつつあります。それならば外からかかってくる電話もチャット連絡に置き換えればいい。それをサービスとして設計して提供しようというのが、事業アイデアのスタート地点です。
月1万円なら電話で困っている普通の人が利用できる
―― 具体的に、どのような形で電話を受ける設計になっているのでしょうか?
脇村 オフィスにかかってきた電話を、fondeskに登録しているクラウドワーカーが代わりに受けて、一次対応をします。相手の社名や名前、用件と電話番号をお聞きして、チャットツールに受電内容を通知します。
―― 他の電話代行サービスと比較したときに、fondeskの強みはどんなところにありますか?
脇村 電話代行に近いものだと、秘書代行のサービスは20~30年前からありますよね。ただ、秘書代行は専任の人を月30~40万円で雇って秘書的な仕事をすべてお願いする形ですから、一部のエグゼクティブ層しか使えません。でも、1社1名を割り当てるという形ではなく、クラウドワーカーのリソースをシェアして月に1~2万円の利用料金で提供すれば、いろいろな会社さんにフィットするわけです。もともとうちは主婦向けのクラウドワークのマッチングサイトの「シュフティ」を運営していて、クラウドワーカーのディレクションが得意です。オフィスや什器の設備投資もありませんから原価は低く抑えられます。クライアントの出費を安く抑えて標準化されたサービスに仕立て上げて提供した点に、独自性があると思っています。
クラウドワーカーの仕事の継続性も担保
脇村 首都圏を中心に、営業事務の採用が難しくなっています。アルバイト時給が上がり人を雇いづらくなっているし、人手不足は今後さらに深刻化します。でも社内に同じ業務がある限りは誰かに割り当てないといけない。業務の分担を社内+外注のハイブリッドにしないと会社が回らなくなっていくわけです。「在宅で数時間だけお仕事ができる」人をうまく活用すれば、以前と変わらないお給料で一定の仕事を任せられる。そういう方法があることは意外と知られていないし、適したクラウドワーカーを探すのも難しいわけです。サービスとして形になっているfondeskはだから使いやすいんです。
一方のクラウドワーカー視点で言えば、クラウドソーシングサイトで1件1件見積もりを出して仕事をもらう形で継続収入を得ることは本当に大変です。だから、私たちがお客様を獲得して、クラウドワーカーは、設計された業務をやれば収入が得られるという形を確立すれば、仕事の継続性を担保できる。流通しなかった仕事が流通するようになって、企業とワーカーの双方にメリットが生まれるという思想があったんです。
―― 最初はfondeskのお客さんはどのように獲得したんですか?
脇村 最初は地道に、僕が知り合いの会社に提案しに行きました。知り合いの経営者の方たちは、すぐにメリットを感じて導入してくださって、事例にもなってくれましたね。それからは、事例資料を作ったり、Facebook広告で事例を素材に集客したりと、ウェブを中心にマーケティングをしています。記事広告にも力を入れています。元ZOZOTOWNの田端(信太郎)さんにサービスを紹介いただいたり、LIGブログで商品説明をさせてもらったりと、コンテンツの発信で、fondeskの認知獲得と理解促進を行っています。顧客単価が比較的低いビジネスで顧客数を積み上げる必要がありますから、アウトバウンド営業をせずに、テコの効くインバウンド×セルフサーブの戦略を取っています。
電話に出たくない「固定電話恐怖症」の話題が追い風に
―― サービスをリリースしてから、ニーズに合致したという手応えはありましたか?
脇村 ありました。コロナ前からリモートワークを取り入れている会社や、シェアオフィスを使っているベンチャーさんは、最初からサービスをすごく評価してどんどん導入してくださいました。先進的な働き方を実践されているお客様に初年度利用いただいて、その事例をもとに、次のお客様を開拓していった形です。サービスが広がる手応えを感じたのは、2020年2月の初旬に「固定電話恐怖症」が「スッキリ」などの番組で取り上げられたことです。今の新卒の人は、電話が鳴ると体がびくっとしてしまうとか、恐怖を感じる人が増えているそうです。僕も新卒のときはそうでしたけど、取引先の名前も知らないから電話相手の社名も聞き取れないし、社内の人の名前を言われてもわからない。新人は電話を取れ!みたいな根性論もあって、けっこう大変でしたよね。スッキリの放送をきっかけに、じゃあ固定電話に出なくてもいいんじゃない?と、fondeskを調べてくれる方が増えました。
―― やっぱり、コロナでテレワークが進んだ影響で、契約は伸びましたか?
脇村 2019年2月のリリースから事業計画の予想を上回る水準で伸びていたんですけど、特にコロナの影響が本格化してきた3月からの半年は、それまでとは比べ物にならないほど伸びています。2020年9月末時点の有料契約件数が1,500件を突破して、直近6ヶ月で4倍の規模になりました。初年度も都内中心に数百社に導入いただいていましたし、一定の認知は獲得できていましたが、緊急事態宣言前後から出社が難しくなり、電話対応が喫緊の課題になった。結果的にこのタイミングから使ってくださるお客様がかなり増えました。
在宅勤務をしている人はオフィス宛の電話はとれず、出社している人はいない人の分まで電話をとって、用件をメールやチャットで送らないといけない。その煩わしさを感じているし、在宅勤務の人は出社の人に対して申し訳ないという、摩擦が起きているんです。ならばできるだけ出社しようという発想も生まれて、固定電話の存在がリモートワークをやりにくくしている部分もある。でも、fondeskが代わりに電話をとってくれて全員にチャット通知が来れば、出社する人の負担もなくなるし、かかってきた人がチャットを見て折り返せばいいだけですから、不公平感はなくなるわけです。そのメリットを実感してくださっているお客様は多いですね。
生産人口が減る日本を負け続ける国にしたくない
―― fondeskや貴社のサービスを通じて、これから実現したいことは何ですか?
脇村 fondeskは、導入すれば会社の売上を増やせるというものではないですけど、バックオフィスの方の生産性向上に貢献することは、すごく意義深いと思っているんです。日本中の電話で悩んでいる人がfondeskを入れることで、やるべき業務に集中できる、少ない人数でも効率的に仕事ができる。そんな環境を実現したいです。
特に総務部門でfondeskを入れてくださっている方が多いんですけど、ある統計によると、コロナ禍で総務の方は1.6%しかリモートワークできていないというデータが出ていました。郵便物の受け取りや契約書の押印、電話対応などの業務があるから出社せざるをえないんですが、総務の人だけ感染リスクが高くていいのかという問題になりますよね。電話はfondesk、契約書はクラウド契約サービスというように、先進的なサービスで手分けして解決できるはずです。当社としても、これからどんどん労働生産人口が減っていく中で、日本を負け続ける国にしたくないという想いがあるんです。
―― 日本は、その非効率をなかなか改善しづらい土壌があるという実感はありますか?
脇村 日本は「一度決めた習慣をやめられない」風土があると思います。長く同じことを続けられるというのは良さでもあるけど、このままでは日本が沈没していくというのはみんなわかっているはずです。いきなり全部を変えるのは抵抗があっても、社外の人が電話に対応することは、「新しいアルバイトさんなのかな?」と相手に思われるぐらいで、商習慣上そんなに違和感のない変化ですよね。徐々に、不自然ではない形で効率化していくことが、今の日本に必要だと思います。
サービスを広げてくれるイノベーターに出会えたのが最大の開拓
―― fondeskの現時点での目標は何ですか?
脇村 これからはもっと、ITやベンチャー企業以外の方にも使っていただきたいです。今、歯医者や車の板金屋、温泉施設などにも導入いただいているんですが、実は、非ITの方々ほど効率化が必要な部分が多いと感じていて。たとえば士業のお客様にしても、行政書士の事務所のほとんどは、1人や2人とかご家族でやっているような小さな事務所です。先生の奥様が四六時中電話対応をしていたら、仕事が回りませんよね。電話を受けられる新しい事務員さんを入れるのは難しくても、月1万円のfondeskなら入れられて業務の効率化ができるわけです。まだまだ認知が低くて必要な方に情報を届けられていないのですが、非ITの方々にもっと活用いただきたいです。
―― fondeskのサービスや脇村さんにとって、今まででもっとも大きな開拓の経験は何ですか?
脇村 fondesk の1社目のお客様が獲得できたことですね。2019年2月にリリースする前、fondeskのサービスを資料にまとめて知り合いの会社さんに紹介していました。その中で、Bizerの代表・畠山(友一)さんにfondeskのサービスについて話したら、「いいじゃん! リリースしたらすぐ使いますよ」って言っていただいて、実際にリリースしたその日に契約していただきました。新規事業って始めたときは「1ヵ月後も契約ゼロかもしれない」という不安の中でやっているんです。だから、リリース前の段階で「使えるサービスですよ」と言ってもらえたのがどれだけ嬉しかったか…。「よかった!1社目が獲れた!」とチームのSlackが湧きました。その後もお客さんを紹介してくれたり、イベントでfondeskを勧めてくださったり。サービスを直感で「いい!」と言ってくれるイノベーターに出会えて、その方々に広めていただけたというのが、僕らの開拓ストーリーですね。そういう方を味方にできたことは、僕にとっても会社にとっても大きかったです。
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